味付けがないのは

MatchofTheDay2007-04-08



イギリスの料理はなぜおいしくないのか?それは味付けがされていないからです。今日はこの国の食べ物の味と味付けについてお話しします。


チキンパイやローストビーフ、フィッシュアンドチップス等、いわゆる伝統的イギリス料理は、素材そのものの味がするだけで、その他の味がしないことが多いです。ローストビーフは焼いた牛肉の味のみ、フィッシュアンドチップスは白身魚のフライと素揚げにしたジャガイモの味のみ、チキンパイは鶏胸肉とパイと無味のホワイトソースの味のみ、といったように。なので、食べる前に自分で味付けをします。塩やコショウを振り、マスタードやグレービーソースをかけ、揚げ物にはモルトビネガーをかけます。見た目にはこんなにおいしそうなんですけどね(写真はフィッシュアンドチップス)。でも味がないんです。


このように味付けがされていないことが、「イギリス料理はまずい」という世界的な評判が生まれた理由であるように思います。どうしてそうなってしまったのかということについては諸説あるようですが、その一つに、かつて塩やコショウが貴重品だった頃は、それらをお客さんに自由に使わせてあげることが贅沢なおもてなしだった、というものがあります。食卓に塩やスパイスを並べ、ゲストに「さあお好きなだけどうぞ」とするためには、あまり味が付いていない料理を出す必要があった、そして料理に予め味付けをしないようになり、それが次第に伝統的なレシピになっていった、というものです。


もしお店でそのようなイギリス伝統料理が出てきた場合は、何も味がついていない可能性があります。そんなときは遠慮なく店員に調味料を頼みましょう。お店によっては伝統料理でないもの(魚のグリルやパスタまで!)も味付けがされていないことがあるので要注意です。


何もこのご時勢に至ってまで、そんなもてなし方をしてくれなくてもいいものですが、いまだにその傾向は根強いようです。イギリス人の家庭にホームステイした際に出してもらっていた料理は、ことごとく味がありませんでした。ローストポークやシェパードパイ(マッシュポテトと羊ひき肉のパイ)もただ焼いただけでした。手作りミートソースパスタも塩味がなかったなぁ。ちょっと下味をつけるだけですごくおいしくなるんですけどね。