カスタマーサービス電話のワナ


イギリスでカスタマーサービスの電話に掛けるときは、心構えや予め用心すべきことなどがいろいろあります。正直言ってカスタマーサービスには何も期待しない方がいいです。今日はイギリスでのカスタマーサービス電話での体験についてお話しします。


以下のお話は、ADSLプロバイダへの問い合わせを中心に、郵便、配達会社等のいくつかのカスタマー電話に掛けたときのやりとりから抜粋したものです。この国の顧客サービスが大変悪いことをよく物語っていると思います(参照:配達はひどい


・待たされる
 ほとんどの商品やサービスには、customer serviceやconsumer relationsといったような、いわゆるお問い合わせ電話番号が設定されています。ウェブサイトにも、最新の値段はここに電話して聞け、というような形で電話番号が書いてあったりします。そのような番号に掛けると、まずたいていの場合、すぐにはつながりません。自動音声で「Thank you for calling. We will connect you to the operator available, as soon as we can.」などと言われて待たされます。待つ時間も長く、30分を超えることもざらです。待たされている間も、「Thank you for your patience.」などと調子のいいことを自動音声に言われ続けるだけです。オペレーターは一人だけなのではないかと思えるくらい待たされます。カスタマーサービス電話の意味がないように思えます。


・通話料を取られ続ける
 さらに腹立たしいのは、その待たされている間も、電話料金がかかることです。「Thank you for calling」と言われた時点から、通話料金が課金されます。電話番号のうち、0800で始まるものは通話料無料で、0870で始まるものは、イギリスのどこから掛けても市内通話の料金しかかからない仕組みのものです。0800のものならいいのですが、そうでない場合は、たとえ市内通話の料金しかかからなくても、30分もすればかなりの額になってしまいます。質の悪い商品やサービスのおかげでつまらない思いをし、さらに電話料金まで失うのでは、まさに泣きっ面に蜂です。盗人に追い銭、とまでも言えるかもしれません(電話料金を受け取るのは相手の会社ではありませんが)。


・オペレーターの権限がなさすぎる
 待たされてやっとオペレーターにつながっても、その人のできることが少なくて、回答が得られるまで日数がかかったり別の部署に回されたりすることがあります。ADSLの接続開始が遅れたときの問い合わせでは、オペレーターは、技術者にメールで問い合わせをするから、5日後にまたこの番号に電話しろ、と言われました。オペレーター自身に調べる権限がないのだそうで、それしかできない、と言うのです。オペレーターはただ話を聞くだけの人のようです。


・内部手続きに時間がかかる
 直前の例でいみじくも表れていますが、調べるのに5日かかる、と言われました。自分の接続状況を調べるのになぜ5日もかかるのか全く不明です。技術者はかなりゆっくりしか作業しないようですし、顧客より技術者の方を大事に扱っているようです。イギリスでは基本的に土日は何も作業が進まないので、この場合、5日後ということは要するに来週、ということです。状況を教えてほしい、という要望ですら1週間かかるわけです。また、郵便の再配達では、その小包が引き取りセンターに届くまで72時間かかる、とされていて、電話口でもその旨何度も言われました。配達できなかった郵便物を配達人から回収し、引き取りセンターに届ける、という作業に3日かかる、ということになります。


・たらい回しする
 オペレーターや技術者達が各自設定している”自分の仕事の範囲”は、かなり厳格で狭いようです。そして自分の分を超えるようなことは一切してくれません。問い合わせセリフの中に自分の仕事には関係なさそうな単語が少しでも入ると、他の部署に回してすぐ自分の手から離そうとします。ADSL接続の件では度々カスタマーサービスに電話しましたが、第一声で「つながらない」と言うと、オペレーターは「技術系の相談担当に掛けろ。番号は○○××だ」とすぐ言ってきます。なので、電話の第一声では「自分へのサービス提供の状態をチェックしてほしい」と言わなければなりませんでした。オペレーターのみならず技術者たちも皆(イギリス人全員がそうなのかもしれませんが)、自分の仕事を減らすことしか考えていないので、一生懸命他の人に回そうとします。


・逆切れする
 カスタマーサービスに電話してよく言われるのが「自分にはその権限がない」、もっと正確に書くと「I can’t do it」です。それに対してなぜできないのかと聞くと、相手は、そうなっているのだから仕方がない、できないものはできない、別の担当に電話しろ、と逆切れ気味に言ってきます。郵便も配達も、他のものもみなそうでした。文句があるなら○○××に電話しろ、と捨て台詞を言われたこともあります。


・少しでも声が大きくなると「切るぞ」と威嚇する
 電話の相手は逆切れするくせに、こちらはあまり声を大きくできません。声がちょっと大きくなっただけで、相手は「お前がそれ以上大きな声を出すならこちらは電話を切らなければならない」とか「私を脅すなら警察に通報する」と威嚇してきます。自分は大きな声でまくし立てたくせに、人が少しでも声を大きくするとすぐそのような威嚇を出してきます。自分のことは棚に上げて、とますます怒り心頭です。


要するにイギリスのカスタマーサービスでは、完全に向こうのペースなわけです。顧客の事情など全く関知せず、来てしまった仕事にしょうがなく対応している、というような応対をされます。イギリスで働いたことのある人のブログで、イギリスの店員は、商品を「売ってやっている」、サービスを「してやっている」と考えている、という話を見たことがありますが、まさにその通りだと思います。待たせようと日数がかかろうと、悪いとは決して思っていない風です。


このような適当な扱いを受けることが本当に多いので、カスタマーサービスははっきり言ってただのポーズに過ぎないのでは、と思っています。法規制がどうなっているのか詳細は分かりませんが、番号を一つ設定して、オペレーターを一人つけておけば、そのような設置規制を満たしていることになる、というわけです。カスタマーサービスを設置してあげているだけありがたいと思え、ということなのでしょう。この国では日本と明らかにルールが違う、ということがよく分かります。サービスのいい日本が本当に恋しいです。このような国の通貨が世界一(?)強い、というのは全く信じられません。



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