イギリス大学院の基本

MatchofTheDay2007-04-09


イギリスの大学院(文系)とはどのようなものか?今日はその基本的な姿についてお話します。


日本やアメリカと一番違うところは、1年でマスター(Master、修士)が取れるコースが多いことだと思います。1年の大まかなスケジュールとしては、9月から新年度が始まり、12月の初中旬までが1学期、そこから1〜2ヶ月の冬休み(Winter Break)、1月から3月〜4月までが2学期、となります。2学期に2〜4週間のイースター休暇を挟むところもあります。2学期の後、さらに3学期があったり、試験があるコースでは5〜6月に試験があったりしますが、それらがないコースではもう授業がなくなります。その後、8月末〜9月上旬の締め切りまで修士論文をひたすら書くこととなります。提出後は11月位に行われる成績発表を待ちます。晴れて卒業が認められると12月(又は翌年6月)に卒業式があり、翌年2月か3月に卒業証書が送られてきます。


修士論文(Dissertation)はどのコースも必須なようですが、必要な単位数(=履修すべき教科数)やその評価のしかた(試験か論文か、又はその両方か)、2学期制(Semester制)か3学期制(Term制)か、等々はコースごとに異なります。ほとんどの教科は授業が週1回なので、1つの学期においては、1週間に授業2〜4コマ、それが10〜12週間続くことになります。それをもう1回か2回やると1年間の授業、すなわちコースの全ての授業が終了となるわけです。教科には必修と選択があり、選択授業はある程度自由がきくようです。


順番が前後しましたが、コース(Course)とは日本でいう学科のようなものです。このコースが出願の対象になります。学部に相当するものはデパートメント(Department)とかスクール(School)とか呼ばれます。コースには取得できる学位が冠せられています。例えばMAはMaster of Arts、MScはMaster of Scienceを指します。2番目以降の文字の違いにはあまり意味がないようです。実際自分はMScを取得しましたが、中身は社会科学、すなわち文系でした。


分かりにくいかもしれないので、昨年の自分の例を。ロンドンの大学のDepartment of Social Policyで行われているMSc Social Policyというコースに出願し、合格・在籍していました。必要な単位数は6で、授業は2つの学期でそれぞれ10週ずつ行われることから、1学期(9月末〜12月上旬)に4つ、2学期(1月上旬〜3月上旬)に2つ教科をとりました。評価は論文+試験で行われ、割合は前者25〜50%、後者50〜75%でした。論文6本+試験6教科、さらに修士論文1本で成績が決まります。試験は6月上旬に2週間行われ、その後は9月初頭の締め切りまでひたすら修士論文(1万語)を書きました。


ブレア政権の政策もあり、大学院の学生は各国から集まっています。アジア系の学生は、あまり実務経験がないまま(学部卒業後すぐ、等)大学院に来ている人が多いようですが、欧米の学生には一度仕事を経験した上で来ている人が多いように見受けました。実務経験があったほうが議論や研究が進めやすいことや、授業料を自分でまかなうべく貯金が必要であることが影響しているようです。


授業料ですが、コースごとに幅があるものの、海外からの学生は8,000〜12,000ポンド位が相場のようです。ちなみにイギリス国籍のある学生はこの4分の1位、EU市民権のある学生はこの半額位です。


ちょっと駆け足になりました。大学院の選びかたや出願のしかたについては、日を改めてまたお話します。ご質問があればコメントやメールで遠慮なくどうぞ。