昼夜の長さとサマータイム

MatchofTheDay2007-05-18



イギリスでの留学生活を苦しめるものの一つとして、日の長さの変動が日本よりかなり大きいことを挙げたいと思います。1年を通じての日の長さの変動は、サマータイムと相まって、じわじわと応えてきます。自分もいまだに慣れた感じがしません。今日は日の長さの変動とサマータイムについてお話しします。


イギリスは日本に比べて全体的に緯度が高い(東京は北緯36度くらい、ロンドンは北緯51度くらい)ので、1年を通じての日の長さの変動が大きいです。

冬至 日の出 日の入り 昼の長さ
東京 7時04分 16時52分 9時間48分
ロンドン 8時00分 15時52分 7時間52分

上記の数字はだいたいの目安ですが、ロンドンは東京に比べては日の出が1時間遅く日の入りが1時間早いので、合計で2時間短いことになります。なので昼間が8時間ありません。朝はともかく、15時を過ぎると薄暗くなってきて、16時には本当に真っ暗になります。

夏至 日の出 日の入り 昼の長さ
東京 4時24分 19時02分 14時間38分
ロンドン 3時43分 20時22分 16時間39分

(注:ロンドンは夏時間調整を除外した時刻)
こちらも2時間の差が出ています。ロンドンでは昼間が16時間を超えています。1年間に昼・夜の長さが9時間近く変動することがわかります。夏はさらにサマータイムなので、日没時刻は21時22分ということになります。22時近くまで明るいことになりますし、21時を過ぎても日が照っているのです。


このような天文の傾向は、1年を通じてじわじわと変化するので、日の長さ・短さをそれぞれ4ヶ月くらい実感し続けることになります。4月中旬になると、18時を過ぎても煌々と日が照るようになりますし、逆に10月始めには17時にはもう夕焼けです。


このように1年を通じての昼夜の長さの変動が大きいため、体内時計や生活のサイクルに多大な影響が及ぶのですが、それに追い討ちをかけるのがサマータイム(夏時間)です。日の長い夏にその長さ(特に夕方)を有効利用しようというのが趣旨だそうですが、ちょっとありがた迷惑な気がしています。


サマータイムの始まりは3月最終日曜です。午前1時を午前2時にする(時計を1時間遅らせる)形で行われます。感覚的に言うと、土曜の夜の睡眠時間を1時間損します。サマータイムの間、日本との時差は8時間になります(日本の時間−8時間=イギリスの時間)。サマータイムは10月最終日曜で続きますが、その日は午前1時が午前0時になります。時計を1時間早める形になり、土曜の夜の睡眠時間を1時間得します。なお、上の写真はサマータイム導入時のBBCの天気予報ページの例です。左中下部をよく見ると、日曜の日の出・日の入りの時刻が土曜のより1時間弱遅くなっていますが、これは導入の処理が行われたためです。


サマータイムの導入・終了時には、時計を早めに直さないと、思いがけず寝坊して電車を逃したりしますのでご注意を。街にある時計もすぐ直っているとは限らないので、しばらくは時計を見る際に気をつけないといけません。


これらの時間が負担になるメカニズムについてですが、対象は生活のリズムと気分との二つに大きく分けられます。生活している実感からすると、そもそもの日の長さに加えてサマータイムが追い討ちをかけるため、夏には21時を過ぎても明るいことになります。逆に冬は17時には早くも真っ暗になります。外の明るさを基準に生活をしていると、食事の時間がいつだかよく分からなくなってしまい、生活のリズムが崩れます。夏には19時に食事を取るとき、外は普通に太陽が照っているので、昼ごはんをまた食べている感覚(またはおやつの時間に食事を食べている感覚)になります。食事のタイミングは生活のリズムの根幹のようなものなので、気づかないとじわじわと体調に影響が出てきます。


また、気分についてですが、冬になると17時には真っ暗になる時期が長く続くので、何となく気分が晴れなくなったりします。夏も、昼がずっと続く感じがして、活動すべき時間が長くなってしまい、落ち着いて勉強したり体を休めたりする時間が減ってしまうかもしれません。これもじわじわと効いてきて、勉強意欲の低下などの影響をもたらします。


対処法ですが、太陽を浴びて体内時計を調整し、日の長さ・短さに自分の体調を合わせて生活するのもいいのかもしれませんが、自分の経験では、意識して生活のリズムを守るしかないように思っています。時計を中心に生活し、外の明るさで食事のタイミングを決めず、なるべく通年一貫した食事時間を守る、というようにしてきて、少しはうまく対処できるようになったような気がします。


みなさんを脅すつもりではありませんが、この日の長さの変動の大きさは、程度の差こそあれ、みなさんの留学生活にも確実に影響を及ぼします。ですが、よく体を休めたり生活習慣をきちんと守ったりすることで、その影響を小さくすることができますので、ぜひ気をつけてみてください。


余談ですが、この国の人間がタフ(頑丈?)なのは、こういった時間の中で何十年も暮らし、それが何世代も続いているからなのかな、と思ったりもします。イギリスのクラブは23時から始まる、とか、フランスのカフェは夕方は20時からしかご飯を出さない、といったように夜型の時間設定がヨーロッパに多いのも、このような天文条件によるのかな、とも思っています。ヨーロッパのカーテンが分厚いのは、夏の遅い日差しを遮るための一つの手段なのかもしれません。



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