ポンドマジック


イギリスの街中の値札がそのまま円表示に見えてしまう…、今日はそんな恐ろしい病気「ポンドマジック」についてお話します。


症状は明快です。お店で見かける値札等の表示の単位が、ポンドでなく円に見えてきてしまう、というものです。例えばスターバックス(この国にも大量にあります)のカフェ・モカが「2.24」と書いてあると、それが2.24ポンドではなく224円に思えてしまう、というもの。1ポンド=235円とするとそれは正しくは約530円なので、実際の半額以下と知覚してしまっています。それにより、本当は日本で買うよりかなり高いにも関わらず、このカフェ・モカが、「日本より安い!」とか「大して高くないんじゃない?」とか思ってしまったりします。これがポンドマジックです。恐ろしいですね〜。


カニズムとしては、小数点を見落としてしまうこと、が直接の原因です。そこに、今まで日本でずっと使ってきた「円」という通貨単位を当てはめてしまうことから、この症状が発生する、そんな流れがあるのだと思います。イギリスでしばらく生活して慣れてくると、通貨単位が違う、という注意が薄れてきてしまい、今まで見慣れているような計算方法「数字の1は1円だ」を当てはめてしまうのでしょう。


この国の物価を日本と比べた場合、高いものと安いものと両方がありますが、外食・宿泊系はとても高くて、だいたい日本の倍くらいはします。レストランでまずいパスタを食べると7ポンド(約1,445円)位はかかります。チェーンのファーストフードですら高いです。スタバの例もそうですし、ケンタッキー・フライドチキンは2ピース+ポテト+ジュース(M)で3.29ポンドかかります。バーガーキングのセットもほとんどは3.99ポンド(約937円)からです。コンビニのような存在であるニュース・エージェント(newsagent)でサンドイッチを買っても、日本でよく見かける形状・分量のものが、普通に2.49ポンド(約585円)とかします。ホテルも、以前お話したように総じて高く(参照:渡航後の仮住まい)、バス・トイレ付きのシングルルームに泊まると、食事なしでも50ポンド(約11,750円)以上かかることがしばしばです(この国では一人いくらではなく、部屋単位で課金されるので、複数で泊まると少しは安くなります。)。


ポンドマジックにかかると、そのような高い物価のものをあまり気に留めなくなり、本当に生活が立ち行かなくなってしまいます。自分も危なかった時期がありましたし、留学生の友人もほとんどがこのワナにかかったことがあると言っていました。イギリス生活3ヶ月目くらいで出てくるようなので、皆様もくれぐれもご注意ください。