配達はひどい


イギリスでの配達サービスは、日本よりかなり劣っています。この国で暮らすと、日本でのサービスがいかに素晴らしいかに気づく日がきっと来ます。今日はイギリスの配達サービス事情についてお話しします。


何がひどいかというと、枚挙に暇がありませんが、ポイントは、配達日・時間が守られない、荷物の扱いが乱暴、不在時の引取りが面倒、ずさんな不在確認、”後は野となれ”的な対応、といったところでしょうか。


①配達日・時間が守られない
この国では、配達時間の指定ができないことが多いです。仮にできても午前中とか午後とかいう大まかなくくりだったりしますし、別料金を取られ、さらにそれが守られないこともしばしばです。配達日が決まっていて予め分かるような場合でも、その日の何時に来るかは分からないため、運が悪いと朝から晩まで家で待たされることになります。結局その日には来ず次の日になった、という話も、友人からたびたび聞いています。「今日は無理だった。明日行く。」というそっけない電話が配達人からあるそうですが、その電話もないケースがあったとか。配達についての心構えとして、当日中に来たら運がよく、しかも午前中ならかなりラッキーだ、と考えておくべきなのかもしれません。


②不在時の引取りが面倒
不在にしていたときに配達されると、不在票が郵便受けに入れられます。いつ取りに来い、と書かれていますが、それが3日後だったりしますし、郊外の配送センターまで行かなければならないことがしばしばです。依頼すれば再配達してくれますが、それも何時に来るか分からないので、例によって一日家で待つことになります。


③荷物の扱いが乱暴
荷物の扱いも悪いです。以前お話しましたが(参照:人の物を投げる人々)、この国では人の物を乱暴に扱っても何とも思いません。ペンを出そうとして、手に持っている箱をそのまま床に落としたりします。目の前でやられるとかなりショックです。また、配達されてきた箱が壊れていて、中身が見えていたことも何度かありました。配達人は「俺は知らないし悪くない(I don’t know. I didn’t do it.)」と言い張るばかりで何もしようとせず、どこで壊れたのかは結局分からずじまいでした。


④ずさんな不在確認
一度、ずっと自分の部屋(アパートの一室)にいたにも関わらず、配達物を受け取れないことがありました。早く来ないかな、と思って昼に玄関の郵便受けを見に行ってみると、9時に来たと書いてある不在票が入っていました。その配達人は、どうやら呼び鈴すら押さずに、不在票だけ投げ込んで帰ったようです。呼び鈴パネルも目立つところにありますし、ボタンを押すなんてそんなに手間じゃないはずなのですが…。朝からずっと玄関で待っているなんてナンセンスですが、彼らにとっては姿が見えないと不在なのでしょうか。


⑤”後は野となれ”的な対応
これは友人の話ですが、ウェブで買い物をして配達を依頼したところ、注文したものとは別の荷物が届いたそうです。結構かさばるものだったそうで、その配達人に、これは注文したものと違うし、置いていかれても迷惑だから持っていってくれ、と言ったら、「自分はこれを配達しろと言われたから配達しただけだ。持っていけない。発注元に言え。」と押し返されたそうです。確かにその配達人にとってはそうなのかもしれませんが、だからといって引き取れと言われた方はたまったものではありません。


ここに掲げたのは一部の例です。すべて自分又は友人が経験したことで、決してねつ造でも冗談でもありません。日本人も含め、こちらで知り合ったアジア人の留学生と話をすると、たいてい一度は何かしらのトラブルに遭っています。なのでそのような話をするとすぐ仲良くなれます。「物価の高さ」「食べ物のまずさ」と併せて、「配達のひどさ」は話のきっかけにできる三大ネタである、と言えるでしょう。


上記のような配達サービスの悪さを見ていると、自分の仕事の範囲を超えて何かするようなこと(=自分が負担を受けたり損をしたりすること)は決してしない、という、この国の人の仕事に対する心構えが透けて見えるような気がします。また、これらのようなトラブルに遭うと、日本で行われているサービスがいかに素晴らしいかをしみじみ思い出してしまいます。日本でもひどいことはありますが、少なくとも荷物を投げてよこしたりしませんし、指定すればほぼ時間通りに来てくれます。そのような高いサービスは、個々の配達人にそれなりの負担をかけているのかもしれませんが、イギリスの配達人にも、せめてその高い料金分くらいはまじめにやってほしいところです。


この国に暮らす際は、配達はあまり使わない方向で生活したほうがいいようです。