ホール芸術のお得な鑑賞法

MatchofTheDay2007-04-25



イギリス、特にロンドンにいると、日本ではあまり身近でない芸術文化に接しやすくなります。それは時に日本の伝統芸能であったりします。今日はイギリスで楽しむホール芸術について、そのお得な楽しみ方を中心にお話しします。


イギリスにはたくさんの劇場やコンサートホールがあり、様々な演目が上演されています。ミュージカルやオーケストラはおろか、バレエ、オペラ、中世演劇等々。そういったものが、気軽に楽しめます。公演の情報は、各劇場のサイトの他、新聞やフリーペーパー、Timeoutという雑誌に出ています。英国ニュースダイジェストやUKジャック、ジャーニーといった日系の情報ペーパーにも詳しいです。


ドレスコードがあるところはあるのでしょうが、あまりにラフ(サッカーのユニフォームシャツ等)でない限りは、断られることはないようです。現地の人は、オペラにすら、Tシャツにジーンズで見に来ていたりします。自分は襟のあるシャツとチノパン、茶色の古い革靴でしたが、何も言われたことがありません。ただ、スーツに黒の革靴なんかでビシッとキメていくと、それ相応の扱いをしてくれたりします(呼びかけが全て「SIr」になったりする)。


大きなホールであれば、チケットはインターネット上で販売されています。会費を払う必要もなく住所等の登録のみで買えるので、とても便利です。チケットの値段はそれこそピンからキリまでありますが、一般に日本で行くよりも安いです。そして安いものは驚くほど安いです。例えば、クラシックのコンサートをよく聞きに行っていたロンドンのバービカンセンター(Barbican Centre)のホール(上の写真)であれば、一番安い席は5ポンドや8ポンドからあると思います(ウィーンフィルは15ポンドでしたが)。ロンドンのコベントガーデン(Covent Garden)にあるロイヤルオペラハウス(Royal Opera House)でも、立ち見の席ですが8ポンドでくるみ割り人形が見られました。ここではそういった安い席から売れていく傾向があるので(日本とは逆ですね)、お得に楽しむならぜひお早めに。


そういった安い値段設定のチケットの他に、時々great offerなどといって、格安でチケットが売り出されることがあります。突然発売され、早い者勝ち(first-come-first-served basisと言われます)で売られます。このような情報はいかに早く手に入れるかが命ですが、メールが一番早いようなので、気に入ったホールがあれば、そこのメーリングリストに入っておくとよいようです。なお、ミュージカルや演劇であれば、水曜の昼にも公演をやっていたり(マチネー(Matinee)と言います)、並んで学生証提示で安く席が買えたりします。各ホールに尋ねてみてください。



有名な日本人の公演も、ロンドンだと手軽に見られたりします。例えばピアニストの内田光子フジ子・ヘミング、バイオリニストの五嶋みどり、等々。その中でも、歌舞伎を見られたのは一番の思い出です。会場はほぼ満員の盛況で、日本人も多かったですが7割位は西洋人で、また年齢層も幅広かったです。演目は海老蔵の「藤娘」と海老蔵亀治郎の「かさね」でした。歌舞伎は高校生のとき歌舞伎鑑賞教室で見て以来でしたが、こんなに躍動的だったのかと驚きました。義太夫もよく通る声で、役者との息もぴったりでした。面白かったのは、掛け声がいいタイミングでちゃんとかかったことです。見得や役者の顔が現れる場面等、要所要所で「成田屋!」「澤瀉屋!」とか「十一代目!」とかいう声がすかさず掛かっていました。大向こうがはるばる日本から来てすごい、と感心しましたが、実は訓練を受けたイギリス人がやっていたのだとか。確かに掛け声がないと歌舞伎はつまらないですからね。でも日本語の発音が良くてわからなかったです。ものすごく楽しかったです。


ロンドンでは毎日おびただしい数の興行がなされています。そういったホール芸術が好きな方にはたまらない都市だと思います。地方の都市でもそれなりの数のエンターテインメントがあります。ヨーロッパに住んでこそ味わえる楽しみですので、勉強の合間に積極的に出かけてみてください。